太陽光発電はノーメンテナンス? 2017年に義務化されました

太陽光発電のあれこれ

今回は太陽光発電のメンテナンスについてご案内します。当初のFIT法の施行時点では明確に規定のなかったメンテナンス、保守・維持管理については太陽光発電をとりまく情勢にあわせて新たなルールが設けられるようになりました。

改正FIT法で義務化された

2017年に改正された「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」いわゆる「改正FIT法」では、10kW未満の住宅用太陽光発電設備についてもメンテナンスが義務付けられました。

具体的なメンテナンスの内容は

内容、頻度などについては「民間のガイドライン」を基準に行っていくことになります。

ガイドラインには…

モジュール、パワコン、ケーブルなどの構成機器の点検を初回は設置1年目、以後4年ごとに行っていく。またその費用の参考として3~7万円程度としています。

そして、これらのメンテナンスが行われていなかった場合、罰則を受ける可能性があるとされています。

ですので、点検記録を保管しておくことも義務とされています。

このメンテナンスの義務が課せられているのは「設置者=発電設備の所有者」です。販売・設置工事した業者ではありません。

具体的にどのような点検をすればよいのか

太陽光発電を構成する機器ごとに考えられるメンテナンスなのですが設置者はもちろん施工業者側にできるもの(やっても問題ないもの)は実はかなり限定されています。

大きく分けて

目視点検 

目視により異常の有無を確認する。屋根上に登っての目視は難しい。

操作点検 

正しく操作ができるか試す。普段は使用しない「自立運転」なども試す。

測定点検 

出力などを測定する。最低でも「テスター」等の機器が必要。

以上の3つの作業になります。

構成機器ごとの点検作業

太陽光モジュール 目視点検

割れ、明らかな変色、ズレなどがないか目視

架台 目視点検しかできないのでは?

錆、緩みなどないか…目視するしかないのが実情

※モジュール・架台の点検では実際には4年ごとに仮設足場を組んだり、高所作業車を使ってまで点検をしている個人はいないというのが実際です。正しい施工がされていれば10年程度で「屋根に登らなければわからないほどの不具合」が起きることは考えにくいです。割れなどは遠目からの目視点検やデジタルカメラのズームで確認できます。

パワーコンディショナ 目視点検、測定点検

端子台の錆、焦げ跡などないか目視し、電圧などを測定する

パワーコンディショナーについては一般人が点検可能な部分はほとんどなく、また、点検の範囲を超えるような事をすると機器保証が切れる可能性があるので要注意です。

接続箱、集電箱 目視点検、操作点検、測定点検、

端子台の錆、焦げ跡などないか目視し、電圧などを測定する

パワーコンディショナーと同様に一般ユーザー様は目視点検にとどめることをおすすめします。

配線 目視点検

ケーブルの被覆材に切れ、すり減り、劣化などないか点検

太陽光連系ブレーカ 目視点検、操作点検

ブレーカの開閉操作がきちんと機能しているか、漏電テストボタンなどの点検

ざっとこのようになります。

ただ厳密な測定検査には専門の機器が必要となりますので、これら点検のすべてを設置者が実際に行うというのは難しいと思います。

テスターで測定したいとき

お持ちのテスターで電圧を測定したいときの注意点なのですが、当然、太陽光パネルに日光が当たっていなければ電圧は発生していません。通常の状態で計測できるのは「動作電圧(直流)」です。接続箱やパワーコンディショナー内部の入力スイッチをOFFにすれば「開放電圧(直流)」を測定していることになります。

基本的に「開放電圧」をチェックするべきなのですが、太陽光パネルの仕様書(カタログスペック)に載っている数値がそのまま出ていることはほとんどありません。9割程度が目安です。

つまり…

開放電圧が30Vのパネル10枚の回路の直流開放電圧は270V前後あれば、概ね問題なしと判断できるということになります。

あくまでも開放電圧に問題がないというだけですので、パネルに異常がないと確定できたわけではありません。

パネルの異常を検査するには一般の「テスター」では不十分で、最低でも「IVチェッカー」、できれば「インピーダンス測定器」が必要になってきます。

点検業者を使う場合

改正FIT法施行のあと太陽光のメンテナンスを有料で行う業者が多数現れました。

設置者が行うにはハードルの高い点作業ですので、販売業者に依頼できない場合はこのような業者を使うことになるでしょう。

この点検業者の選び方は別記事でご案内しようと思います。

まとめ

住宅用太陽光もメンテナンスが義務付けられた

設置者=発電設備の所有者が責任をもって行う

実際に屋根に登るような点検は当面、現実的ではない

以上です。

メンテナンスについての考え方の基準となるガイドラインは、実際の発電を取り巻く実情に合わせ改訂を繰り返して変っていきます。

今後も変更があれば更新をしてまいります。

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